タバコの依存症

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ニュージーランドで20日出版されたジャーナル「アディクティブ・ビヘイビアーズ」に発表された最新研究報告によると、
人によってはたった1本のタバコでも依存症になるという。
研究者は喫煙と依存症に関するアンケートを作成し、学校を通して14-15歳の若者に回答させた。

 質問は「深刻な依存症に陥っていますか?」・「喫煙を続けているのは、禁煙が難しいからですか?」
・「喫煙できないときは精神を集中するのが難しいですか?」など。

 アンケートは全部で9万6000枚回収され、分析された。
その結果、頻繁に喫煙を行わない者でも依存症を呈することが分かり、
喫煙回数が少なくてもタバコに対する強い欲求を覚える人が多く見られたという。

 データによると、喫煙本数が毎月平均1本以下と答えた人の46%は、喫煙への欲求は抑えられると回答している。
しかし喫煙の欲求をコントロールすることが難しいと答えた人の10%が、
初めてタバコを吸った時から2日以内ですぐに依存症が現れたとしている。
さらに初めての喫煙後1ヶ月以内に依存症が現れたという人になると、その割合は25%に上る。

 これに先駆けて発表されたカナダの研究者の報告によると、
ある特定の遺伝子が依存症になり易いか否かを決定しているという。



動物実験などの知見から、ニコチンは明らかな依存性を持つことが知られている。
ニコチンは、神経伝達物質であるアセチルコリンに分子構造が類似し、
ニコチン性アセチルコリン受容体に作用することで、中枢神経のドパミン神経系、
特に脳内報酬系を活性化する。そのため、摂取後に一時的に快の感覚や覚醒作用を得られる。
このような報酬系を介した薬理作用は、覚醒剤など依存性を有する他の薬物と共通である。
欧米では大麻やコカインなどのドラック汚染の拡大から、タバコも同種の薬物と位置づける事で
大麻撲滅運動の一環に禁煙運動が存在している。これはタバコが大麻吸引の道具ともなり、
大麻摂取者の大多数は最初の大麻吸引にタバコを使用しているからである。
ニコチン摂取を続けると、ニコチン受容体がダウンレギュレーションを起こし、
ニコチンを外部から摂取しないと神経伝達が低下した状態となる。これがニコチン離脱症状であり、
自覚的にはニコチンへの渇望が生じる。喫煙に対して依存性を示す者は「喫煙でリラックスできる」と表現するが、
実際は離脱症状を喫煙によって一時的に緩和しているに過ぎない。


喫煙依存症は、精神医学において物質依存の一種であると認められており、
WHOによる疾病の分類基準である国際疾病分類第10版にも「F17.2 タバコ使用<喫煙>による精神および行動の
障害 依存症候群」として分類されている。日本においても、中央社会保険医療協議会により正式な疾患と認められ、
2006年4月からニコチン依存症患者の病院での禁煙治療が健康保険制度の適用となった。
これにより禁煙治療における患者負担額が大幅に軽減されることとなり、禁煙外来などが新設されている。
一方、このように健康保険の対象とした事により医療費用の増大に繋がっている。
喫煙開始年齢が低いほど依存を形成しやすい傾向があると言われている。
また、喫煙開始年齢が低いほど健康に与える影響や後年の発癌率も高いとされ、
未成年の喫煙防止が大変重要といわれている。
近年、国内外の幾つかの研究グループによって、たばこ依存症に陥りやすくし、
その結果、肺癌になりやすくする遺伝子の存在が明らかになっている。
米国M.D.アンダーソンがんセンターによると両親共にたばこ依存症を招く遺伝子を持つ喫煙者は
そうでない喫煙者と比べて80%も肺癌になる可能性が高いとの調査報告がある。




心をあやつる毒:依存性薬物と精神異常発現薬 (厳密には毒ではない)

  1. 薬物乱用 drug abuse:正当な目的から逸脱して、気分の転換や束の間の快楽のため、悪いこととは知りつつ、薬物を使用すること

    • 特徴:医学的妥当性なし、社会通念 (習俗) に外れている、常に自己投与。
      酒 (アルコール)、タバコ (ニコチン)、お茶 (カフェイン):
       薬理作用を有する化学物質だが乱用ではない (法的規制がないから)
      アルコール飲用:回教国では乱用になる。
    • 薬物ではないが、シンナー、LSD、マリファナも含む。
    • 生体への影響は必ずしも問わない。
    • 薬物の毒性以外に静注時の感染症 (AIDSなど) が問題。

  2. 薬物依存 drug dependence
    生体がある薬物に対して精神依存 and/or 身体依存にある状態
    薬物乱用≠薬物依存≠薬物中毒、乱用⊃依存 (乱用なしの依存もある)
    薬物依存の結果生じた行動異常・精神障害・臓器障害:一括して“依存症”
     アルコール中毒 (肝障害など) +アルコール依存症:アルコール症

    1. 精神依存 psychological dependence
      強い欲求のためその薬物の使用を意志でコントロールできない強迫状態
       →手に入れるためなら何でもする (行動的、精神的異常を伴う)。
      断薬したり十分量の薬物が手に入らない。
       →1) 強い不安、薬物に対する激しい欲求。2) 客観的には退薬症候 (禁断症状) なし。
      神経化学的機序:不明
      関連語:薬物探索行動 drug-seeking behavior…激しく薬物を求める行動
       例) ヘビースモーカーがタバコ切れで灰皿の中の消しもくをさがす。
      ∴精神依存は薬物探索行動の無限の繰り返しが中核

    2. 身体依存 physical dependence:中枢抑制薬のみ
      断薬/減薬により身体的異常 (退薬症候) を生じる状態
      退薬症候 withdrawal syndrome、離脱症状 (禁断症状 abstinence syndrome)
       薬物の血中濃度の低下で出現する不快な症状 (不眠、不安、振戦、発汗、痙攣発作、妄想、幻覚)
       中断後1〜2日以内に出現、2〜3日でピーク、1週間程度持続
      機序:中枢抑制薬による抑制に順応→代償的に過剰興奮→退薬でバランスが崩れ中枢が興奮
      薬物の再摂取で消失
      反復投与→精神依存→身体依存→精神依存増強 (精神依存の二次形成)
      強制投与で直接身体依存が生じることもある。例) モルヒネ

    3. 交叉依存 cross dependence
      ある薬物の依存が全く別の薬物の依存に継続できる状態 (それぞれの退薬症候を互いに抑制)
       例) アルコール→barbiturate

  3. 薬物依存の治療薬
    退薬症候を抑制し、それ自体身体依存を形成しないもの (完全なものはない)
     例) モルヒネの治療薬: (依存時) メサドン (退薬症候抑制)
       ヘロイン:モルヒネ治療薬の hero としてデビュー。しかし身体依存形成能は最強

  4. 耐性と逆耐性

    1. 耐性 tolerance
      初期と同様の薬物の効果を得るには用量の増加を必要とする現象
      1. 代謝耐性 metabolic tolerance:代謝・排泄の昂進
         例) バルビタール、エタノールによる肝薬物代謝系の機能昂進
      2. 機能的耐性 functional tolerance:薬物の体内動態には無関係
        1. 組織耐性 tissue/cell tolerance:身体組織自体の感受性の低下、代償機能の発達
           →身体依存との関連深い
        2. 行動耐性 behavioral tolerance:運動機能などを障害する効果に対する慣れ
           身体依存を生じる薬物には必ず耐性存在→共通の機序の存在を示唆。しかし耐性≠身体依存

    2. 逆耐性 reverse tolerance、過敏現象、履歴現象、再燃現象 flash back
      薬物の反復投与によって薬物感受性の増強が起こる現象
      症状:断薬後 (しばらくの症状消失期を経て) 数年以内に少量の薬物により、あるいはストレスのみで、依存状態 (精神毒性) が速やかに再現される。
       例) 覚醒剤の分裂病的な被害妄想の再現
      退薬症候:数時間から数週間程度持続 (ピーク数回あり)
      再燃現象:断薬後かなり時間を経過してから (その間消失)

    3. 交叉耐性、交差逆耐性

  5. 薬物の精神毒性
    薬物によって起こる病的な精神状態。意識障害を中心とする外因性精神障害

    1. 精神病・鬱病の誘発、精神病的状態・鬱状態……覚醒剤
    2. 恐慌不安反応 (潜在的な不安の露呈) ……………幻覚発現薬
    3. 動機喪失症候群 (消極的、非生産的態度) ………大麻?
    4. 急性脳症、慢性脳症 (痴呆・人格障害)



    1. 法的取締 (日本): あへん法、大麻取締法、覚せい剤取締法、麻薬及び向精神薬取締法
       →法的にはアヘン、覚醒剤は麻薬ではない
       国際麻薬:独立した法律(国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律)で規制
    2. 依存性薬物による犯罪
      1. 経済的犯罪…ヘロイン (中枢抑制薬): ヘロインを買うために強盗
        薬が欲しくてする行為 (精神・身体依存)。手に入れば満足
      2. 凶悪的犯罪…覚醒剤、コカイン (中枢興奮薬): 他人への理由なき傷害
        薬の作用により生じる行為 (精神毒性、特に慢性)。入手とは無関係
        統合失調症 (精神分裂病) 妄想型に類似した被害妄想→防衛行動→暴力行為
    3. 依存性薬物共通の薬理学的特性
      1. 中枢神経系 (脳) に作用し、精神の変容を引き起こす=向精神作用 psychotropic action
      2. 生体にとって好ましい幻覚:報酬的効果。例) 多幸感、陶酔感、苦痛の軽減
      aでもbでないものは依存性薬物ではない (フェノチアジン系やブチロフェノン系向精神薬)
      依存性薬物の強化効果 (正:報酬的効果、負:退薬症候):飴と鞭
       →いずれも薬物の反復自己投与を促す
      神経化学的機構:アンフェタミン、アルコールの多幸感
       …カテコールアミンの作用が関与。特にドーパミン系



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